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このページを作ろうとする理由
ホームページを開設してから、構想を温めてきたアイデアの1つとして、いただいた本や論文抜刷の目録を作成することがありました。職業柄、私は自分の専攻とは異なる本や論文をいただくことは少なくありません。それらを目録化しつつ公開し、できれば礼状も兼ねようというもくろみでした。しかし、韓国・朝鮮考古学関係のデータ整理だけでも大変で、それ以上の目録作成を続ける自信がなく、実行に移せずにいました。
そうした中で、全ての資料を目録化しようとせずに、気の向くままに覚書として書き残していくことを思いつきました。ブログに似た発想ですが、こまめに更新する自信はありません。更新間隔が空いているときは、私が忙しいのだと考えていただき、ご容赦ください。(2007.6.1記)


どうにか年末までたどり着きました(2019年12月31日)

文化遺産学・人文知連携センター長としての仕事に追われる中で、2019年の後半も過ぎてしまいました。想定外のシンポジウムを泥縄で9月に開催した後、12月には本来予定していた文学研究科公開シンポジウムを開催。さらに2月にはもう1つシンポジウムを開催し、3月の行事の準備も進めなければなりません。ある人に忙しさをぼやくと、「研究のために雇った人にそんなことをさせるなんて、京都大学はぜいたくですね。」と訳のわからないコメントをされて複雑な思いになりました。例年ながら、後期は英語講義や朝鮮・韓国学入門、といった専門外の講義の準備でも大変でした。特に朝鮮・韓国学入門は、200名以上が登録する大教室講義である上、開始時の日韓関係が最悪で、何をしゃべればよいのか非常に緊張したのですが、どうにか無難に進められています。その一方、自分の研究は全く手つかずです。9月に集中的に国会図書館に通って、新しい研究材料を集めてきたのですが、すでに何をしていたか忘れつつあります(泣)。とりあえず年末年始はしっかり休養し、年度末の混乱の中に突っ込んでいかねばなりません。

菊池徹夫2007『考古学の教室 ゼロからわかるQ&A65』平凡社新書

 ある人に「入門書としてはよく書けている」と推薦されて一読。考古学を目指す学生には物足りない内容かも知れませんが、高校生や一般の人に考古学という学問を知ってもらうための本としては、お勧めしたい本だと思いました。

新城道彦・浅羽祐樹・金香男・春木育美2019『知りたくなる韓国』有斐閣

書店でみかけて購入・一読。日韓関係が最悪な状況になりつつある中での出版は、なんとも気の毒、と思いつつ読み始めたのですが、面白くて一気に読み進めました。説明不足に思う部分もないわけではないのですが、「伝統的」な韓国の社会・文化の紹介にとどまらず、ここ10年ほどの韓国の変化の状況を踏まえた記述がなされ、私自身の体験を整理する上では有益な本でした。

田淵五十生2011『世界遺産教育は可能か−ESD(持続可能な開発のための教育)をめざして−』東山書房

本を検索していて偶然に見つけて、注文・一読。社会科教育の新たな方向性としての世界遺産教育のあり方を模索・実践された状況を、よく学ぶことができました。さて、この先をどうするか、を考えなければ。

牧野愛博2019『ルポ「断絶」の日韓 なぜここまで分かり合えないのか』朝日新書

新聞広告をみて衝動買いしました。断片的な情報をつなげていくのには有益な本でした。中でも「第3章 日韓愛憎の100年」で書かれている話は、なかなか興味深かったです。

白幡洋三郎1996『旅行ノススメ 昭和が生んだ庶民の「新文化」』中公新書

 植民地朝鮮における旅行について学ぶ中でこの本の存在を知り、古本屋から取り寄せました。日本における旅行業の成長史を学ぶことが主たる目的でしたが、修学旅行・新婚旅行・団体旅行の変遷を述べる部分も、興味深く読むことができました。

池畑修平2019『韓国 内なる分断 葛藤する政治、疲弊する国民』平凡社新書

 新聞広告を見かけ、たまたま立ち寄った書店で購入。保守派と進歩派とのこの間の葛藤の変遷を、記者の目から丁寧にまとめている、という印象。いろいろな面で勉強になりました。

松尾秀昭2017『石鍋が語る中世 ホゲット石鍋政策遺跡』新泉社

 講演の準備の必要性がでてきて急遽、購入して一読。石鍋採掘遺構のきれいな写真をみることができました。また、滑石の分布範囲、および石鍋製作遺跡や石鍋の分布状況の概要を知ることができました。

クオン・ヨンソク2010『「韓流」と「日流」 文化から読み解く日韓新時代』NHK出版

 講義の関係で古本を取り寄せて一読。今から約10年前の見解ではありますが、「韓流」・「日流」の流れを理解・整理するのに役立ちました。著者の生き様との関わりの部分が特に興味深かったです。

福屋利信2013『植民地時代から少女時代へ 反日と嫌韓を越えて』太陽出版

 やはり講義の関係で購入・一読。こちらは日本人の社会学者としての視点からの分析。映画や音楽の分析は、なかなか読んでも楽しいものでした。

鈴木克彦2018『考古学倫理を考える−考古学倫理を確立するために』

 ある方から本の存在を教えられ、入手・一読しました。前期旧石器捏造事件や三内丸山遺跡をめぐる「考古学倫理」が主題となっています。三内丸山遺跡をめぐる叙述には、個人的な思いが強くですぎているのですが、当遺跡の評価が地元でも一致しているわけではないことは理解することはできました。

西谷正2019『私の東アジア考古学』海鳥社

西谷先生から献本いただき、早速、読ませていただきました。西谷先生の研究者としての歩みを知ると共に、西谷先生と関係を結ばれた先生方のことを網羅的に知ることができました。

広瀬玲子2019『帝国に生きた少女たち 京城第一公立高等女学校生の植民地体験』大月書店

書評などをみて読もうとしたところなかなか入手できず、大阪の書店でみかけて購入・一読。この手の本は、植民地で生活していた経験を扱うことが普通ですが、敗戦・引揚げ、そして戦後に至るまでの「植民地認識」の変化までを扱ったところが特色、といえましょうか。こうした部分、関心はあってもなかなか聞き出すのが難しいことは、経験上からもよくわかるのですが、そこで聞き取ったことに客観的・批判的な分析を加えている点についても、いろいろと考えさせられました。

金敬哲2019『韓国 行き過ぎた資本主義 「無限競争社会」の苦悩』講談社現代新書

 生協の新書15%引セールで購入して一読しました。子供から老人に至るまで、従来の価値観が崩壊し、「無限競争」が続く様子がよくルポされていると思いました。まあ、多くのことは、妻方の親類の間で起きていることで、驚くことはなかったのですが。それより興味深かったのは、帯に書かれた「これは、近未来の日本の姿かもしれない。」という文句。本書の結論部分で述べられた部分を要約した文章ですが、これまでは逆のコンテクストで語られることが多かったはずです。いろいろな意味で韓国が日本を追い抜いているという認識をもつこと、今後、大事な視角になるのかもしれません。

李煕濬(諫早直人訳・吉井秀夫解説)2019『新羅考古学研究』雄山閣

考古学研究室で輪読会をしてから、本当に長い間の懸案であった翻訳本が刊行されました。訳出に当たっての大変な部分は諫早さんがきちんと解決し、私は解説を書かせていただきました。少々値段が張りますが、ぜひお読みいただければ幸いです。

小倉紀蔵2017『朝鮮思想全史』ちくま新書

 以前から読もうと買い求めていたのを、ようやく読み始めたのですが、予想以上に面白く、一気に読み通しました。古い時代については、引用している文献の古さが気になったものの、朝鮮時代以降の思想的な潮流を広く概観することができた(ような気持ちになれた)ことは大きな収穫です。

以下は、この間にいただいた論文・書籍です。どうもありがとうございました。

吉村武彦・吉川真司・川尻秋生編2019『古代寺院 新たに見えてきた生活と文化』岩波書店
高田貫太2019『「異形」の古墳 朝鮮半島の前方後円墳』角川選書
諫早直人2019「栄山江流域における馬匹精算の受容と展開」『国立歴史民俗博物館研究報告』第217集
諫早直人・大江克己・金宇大・降幡順子・山口欧志・吉澤悟2019「群馬県白山古墳出土品の研究2」『鹿園雑集』第21号
諫早直人2019「馬の流通、馬による交通」『考古学ジャーナル』731
新尺雅弘2019「久米寺式軒瓦の成立と展開−藤原京期における久米寺の性格−」『考古学研究』第66巻第2号
財団法人由良大和古代文化研究協会・奈良県立橿原考古学研究所(編)2011『森本六爾関係資料集T』
鈴木裕明2019『古墳時代王権中枢の木材利用に関する総合的研究』
岡田憲一2019「鳥居龍蔵の1923年度朝鮮石器時代調査」『考古学研究』
安在ホ2019「松菊里文化の起源再考」『嶺南考古学』83号
平郡達哉2019「韓半島南部地域青銅器時代の埋葬姿勢に関する覚書」『花園大学考古学研究論叢V』
「眞晟(平郡達哉訳)2018「清川江以南地域における無文土器時代墳墓の出現について」『島根大学法文学部紀要 社会文化学科篇 社会文化論集』第14号
申敬チョル(平郡達哉訳)2019「加耶の情勢変動と倭」『前方後円墳−巨大古墳はなぜ造られたか』岩波書店
平郡達哉2019「出雲市原山遺跡採集の磨製石剣について」『出雲弥生の森博物館研究紀要』第7集
齋藤瑞穂・山岸洋一・竹之内耕・パレオ・ラボAMS年代測定グループ2018「長野県北安曇郡小谷村北小谷下寺試掘調査報告−正徳4年(1714)信濃小谷地震の考古学的研究−」『災害・復興と資料』第10号
権旭宅2019「韓半島南部・日本列島出土漢代貨幣と用途」『嶺南考古学』84
中野咲2019「ミニチュア炊飯具からみた大型群集墳について−実用炊飯具との比較を中心として−」『和の考古学−藤田和尊さん追悼論文集−』
中野咲2018「日韓における移動式カマドの展開様相」『由良大和古代文化研究協会 研究紀要』第22集
田中祐樹2019「田上町行屋崎遺跡出土遺物にみられる外来系要素について」『研究紀要』第10号
田中祐樹2019「柵造営前後の外来系土器について−関東系・東北系を中心に−」『新潟考古』第30号
田中祐樹2019「中川低地周辺域における古墳時代中・後期の土器様相にかんする予察−いわゆる「ヘルメット形坏」の分析から−」『土曜考古』第41号


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