13回日本小児整形外科学会学術集会を終わって

子ども達の健全な発育を願っての日本小児整形外科学会は今年で13回迎え、11月
28ー30日にかけて福岡の地で学術集会がもたれ、あつい熱気の中、そして積極
的な討論の中、終了いたしました。多くの参加の先生方と座長の先生をはじめとす
る多くの方々のご協力に改めて感謝するしだいであります。

本年は、粕屋新光園、そして南多摩整形外科病院という小さな施設で担当いたしま
したこともありまして、幾つかの困難があるかとは思いましたが、九州大学岩本教
授、福岡市立こども病院藤井敏男先生、福岡県粕屋新光園福岡真二先生及び、その
仲間、さらに九州各地区の病院施設の先生方のご協力もあり、海外からの先生方も
合わせ460人を越える参加者があり、盛会裏に学会が終わりましたことに大変嬉しく
有難く思うしだいです。

日本小児整形外科学会は、産まれて来る子どもたちの健康と幸せを守るのだという
高い理念の中に整形外科医が集まりまして、子どもによく見られる整形外科疾患の
予防と治療についての研究結果を交換する場所として設立した会であります。

小児整形外科学会が担当する分野は全身の骨折、関節炎など感染症、子どもに特有
な、股関節の病気でありますぺルテス病、先天性股関節脱臼、側弯症、脚の短縮に
対する脚延長術(足を伸ばす手術)、脊髄の色んな疾患、骨軟部腫瘍、下肢の回旋
異常、二分脊椎、ポリオ、脳性麻痺、進行性筋ジストロフイー症、肩の各種変形、
リハビリテーション分野、内反・外反足部変形、膝の疾患、手の外傷、手の形態異
常、麻痺性の手など多方面にわたり、各分野で色々な治療が準備されております。

今回は、福岡で行われる関係上、九州大学や福岡大学の整形外科、福岡市立こども
病院の整形外科、佐賀整肢学園整形外科、北九州総合療育センターの整形外科、粕
屋新光園の整形外科の先生方にテーマをしぼっていただいて、これらの幾つかの疾
患の中から主題を決めてもらいました。

主題としてあげられましたのは、まず、第一番目に肘関節周辺の骨折、さらに麻痺
性側弯症、新時代の股関節、先天性股関節脱臼の補正手術、くる病(Blount病)な
どでしたが、Blount病は応募演題が少なく、その他のテーマで最も応募の多かった
脳性麻痺をとりあげました。いずれの主題とも先生方が会場からあふれんばかりの
盛況で活発な討議がもたれておりました。

招待講演はフランスのサンテンチェンネ大学の整形外科の教授、Jerome Cottalorda
先生、香港の中国医科大学整形外科教授、Jack CV Cheng先生,
韓国小児整形外科学会の会長でありますヨンセイ大学の整形外科教授, Park先生の
3人にお願いしました。

Cottalorda先生には、骨の腫瘍の話を、Cheng先生には脚延長の基礎的延長の話を、
そしてPark先生には、足が内にねじれている変形の治療法についての話を講演して
もらいました。それぞれが小児整形の子どもへの健康を阻害する因子をどうやって、
除こうかという真摯な取り組みにあたります。

教育研修講演は山形大学医学整形外科の教授の荻野利彦先生に手の形態異常につい
てのお話を頂きました。

さらに、福岡こども医療病院整形外科部長の高村和幸先生には脚延長術の実際につ
いて、そして、2日目の昼の講義にはアメリカのNIHという医学の研究所の山田先生
に遺伝子の組み替えと治療といった内容のお話をいただきました。
こうしてみてまいりますと、このホームページで色々悩みを抱えてサーフインをさ
れるお母さんがたの問題について、この学会はかなり突っ込んだ勉強をする場であ
ることが分かると思います。

このほか、外国の先生と日本の先生が一緒になって一つのテーマについて発表する
国際シンポジュウムを「大腿骨骨折の治療―手術的治療と保存的治療」「創外国定術に
よる各種変形矯正」という二つのテーマで行いました。タイのAnant Tassanavipas
先生、韓国のJong Sup Shim先生、Kwang Soon Song先生、日本の松原秀憲先生、
亀ケ谷真琴先生、韓国のHae Rong Song先生、In Ho Choi先生、日本の大西五三男
先生、柏木直也先生、川端秀彦先生、中瀬尚長先生に参加いただきました。

今回の学会の方向性は色々なテーマの発表はできるだけ同じ会場で皆でともに聞き、
ともに見、ともに討論し、体験を深めていく、というようにしたいとする学会を組
織する仲間達の思いをどう実現するかにありました。

そのために、会場を2つの会場にし、そこで語られない論文に関しては、ポスター
会場に展示いただき、その中で討論するという方式をとることにしました。その
結果2つの会場は多くの聴衆にあふれ、それぞれの専門の中で、激しい熱意あふれる
討論を展開、それを皆で勉強するというスタイルが現実のものとなりました。若い先
生方または先生方は2つの会場の中で色々な勉強ができたと思われます。

また、ポスターは討論の時間を5分とりました。海外の先生ともども英語のセッション
を広くもうけまして、それぞれの会場で多くの聴衆を得て、色々な討論が行われて
極めて国際色の強い討論が行われました。また、討論も一般講演と同じ程、多くの
聴衆の中で充実したものが行われました。

もちろん一般演題も発達性股関節脱臼、ペルテス病、膝関節疾患、斜頚、脊椎、骨
形成不全症、創外固定、装具、足疾患など多くの発表がなされ、小児整形外科の幅
の広さをおもわせました。脳性麻痺の演題も多く、麻痺性側弯症が主題で6題、
脳性麻痺が主題で6題、脳性麻痺一般演題が6題、そしてポスターセッションでも
6題、英語のセッションとしてもたれました。

これは、アメリカでの傾向でもありますが、アメリカにはPOSNA(ポスナ)という
北アメリカ小児整形外科学会がありまして、極めて完成度の高い学会ですが、近年
は色んな小児整形外科疾患に合わせて、脳性麻痺がその中の大きな位置をしめるよ
うになってきています。とくにアメリカでは歩行分析を使った研究等が受け入れら
れていると考えていいと思います。

このホームページにも紹介しましたように、近年、脳性麻痺の整形外科は、ひとつ
の科学としてこの大きなテーマであります脳性麻痺の運動障害を治そうとしていま
す。しかしながら、これを治すのには整形外科のしかも小児整形外科で培われた色
んな知識が必要となってくるわけです。
まず、整形外科がこの痙性を弱めることができるかということですが、福岡先生の
今学会での発表によりますように、肩の緊張も確実にとれるようになっています。
股関節、背中などの、手の緊張等も除かれるようになって、科学であると少しずつ
認められつつあるように思います。その科学による治療の面白さが整形外科医の関
心をひきつけてやまないという一面をもっています。

さらに、緊張を取ればいいのではなく、股関節脱臼やいろいろな変形を正確に筋肉
の力を残して治療するということも求められます。

そのためには、小児整形外科で培った観血的整復術、大腿骨骨きり術、骨盤骨きり
術といった、先端的な整形外科の知識が小児整形外科の知識が求められるわけです。
また、先天性内反足の治療などで培った足の手術の治療も、まったく同様に脳性麻
痺の足の変形に活用されることになります。

このように、今回会長として、この会を担当することになりましたけども、小児整
形外科は、やはり今後脳性麻痺にかかった子ども達の機能の改善を可能にする現時
点では主要な治療手段であると考えられますし、これの基本を支え、学問の進歩を
助ける学会が日本小児整形外科学会であるといえます。

このたび、多くの先生方が参加され、小児整形外科全般はもとより、脳性麻痺の治
療にも役立つ色んな考えについての研究発表、さらにそれをつづく討論がなされま
したことをここに報告し、この会を開催するにあたって御協力いただいた多くの、
私達をとりまく仲間達、そして皆様方に深くお礼を述べたいと思います。

さらなる小児整形外科の発展を祈り、第13回小児整形外科学術集会の報告を終わりた
いと思います。
有難うございました。
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