とねっこ保育園の仲間達、2
お坐りが出来た(YOK君)
  YOK君は3才、男子です。関東の県に御一家は居をかまえておられます。
創風社の千田社長が東京女子医大脳神経外科学堀智勝教授と私とをてんかんや
障害をもったこども達と会う場を作ってくださった事があります。その時に紹
介されました。全身にかたい緊張をもっていました。千田社長さんの話では、
今まで訓練しかない、と言われ、あちこち回られたけれども、ほかにはどうに
もならないといわれてきた。千田グループの勉強会で堀教授から松尾という人
が脳性麻痺の治療の本を出しているようだ、その本によれば松尾のところで何
か解決の方法があるかも知れないと私の所を紹介された、との事だったと思い
ます。

  始めて会った時は、たしか寝返りが出来ていたと思いますが、這うとか自
分で坐る事が出来ず、体は緊張でがちがちしていていたと思います。その後、
私の園まで診察に来られ、両方の股関節が大きく脱臼している事も判明いたし
ました。御両親としては何とか脱臼はなおしたいという気持があったと思いま
すが、脱臼が何故悪いかも教えてくれる人もなく、どうしたらいいか迷う時期
だったのでしょうか。私の診察では、股関節はすでに大きく脱臼しており、
「このままでは将来寝返りをした時に関節に痛みが出るので、折角出来るよう
になった寝返りも出来なくなり、本当の重症心身障害児になってしまいますよ。
今のうちに脱臼を正しく、整復しておく必要があります」とお話しました。し
かし、大きく脱臼しているので「整復する手術と骨を切って折り曲げ、再脱臼
をしなくなる手術を組み合せる必要がある事」をのべました。治療が遅れたの
で、大手術になるんですね。早く手術をすれば、そんなに大手術ではないのに
ですね。

  とはいっても「両方の股関節の緊張がとれたら、這い這いや、自分でのお
坐りも出来るようになるかもしれない」とも話しました。最終的な御両親の決
断としては、「手術はしたい。しかし骨を切る手術はしないでほしい、骨を切
らずに脱臼を入れてほしい」との事でした。本質的に無理な話ではあるのです
が、親の言う通りでないと、それ以上にすすむわけにはいきません。そうして
骨切りを合併しない股関節脱臼整復手術を両方の股関節にいたしました。
  そして、ほんの数ヵ月の訓練の後、今まで絶対に無理と思われていた這い
這いが出来るようになり、そのあとすぐに自分でおしりをあげておすわりが出
来るようになり、右手も動きやすくなり、ごはんが食べれるようになりました。
骨を切るという侵襲がなくて、緊張をゆるめるだけでしたら、こんなに機能が
あがるんです。こうして、御一家は元気になったYOK君をつれて千葉に帰って
いかれました。

  その後脱臼のX線を見て、やはり完全でないのが残念に思ったものでした
が、とねっこ保育園でとてもダイナミックな絵を書いてみせてくれました。今
年の春にまた私達の所に診察に来られるとの事ですが、膝や足の手術をすすめ、
脱臼を防止しつつ、機能があげられればと楽しみにしています。
  このように脳性麻痺に対して歯訓練だけしか方法がないと言うのでなく脱
臼治療とともにお坐りが出来るような手術というのもあります。痙性を本当に
意味で除くという意味で緊張除去術との併用をたえず考えるという幅広い考え
方が求められましょう。
。間もなく福岡に診察に来られるとの事ですが、次に膝の手術、足の手術でも
っと体を柔らかくし、さらに機能があげられればと思っています
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